口に含んだ瞬間、身も心もほどけていくように甘いチョコレート。
至福の時間をもたらしてくれるチョコレートですが、皆さんはいつ誕生したかご存じでしょうか。
実はチョコレートは大変古い歴史を持っており、ここではチョコレートの起源から誕生までを紹介したいと思います。
チョコレートの歴史を知ることで味わい方が、変わるのではないでしょうか。
目次/contents
チョコレートのルーツは紀元前だった!
カカオといえばアフリカやガーナが原産地なイメージですが、実はアフリカでカカオ栽培が始まったのは、19世紀半ばごろで200年ほどの歴史です。
本当のカカオの歴史ははるかに古く、遡ることなんと4000年。
紀元前2000年のメソアメリカ(現在のメキシコ及び中南米諸国)でカカオが栽培されていたのです。
そして、古代文明が栄えたメソアメリカでは、カカオの実を食べていたという記録が残っています。
また、オルメカ文明では、カカオの語源である「カカウ」という言葉も残っています。
チョコレートの歴史は、ここから始まったのです。
これほど長い歴史の中、古代文明でチョコレートがどのようなものだったのか、どのように扱われてきたのか、歴史を繙いていきましょう。
「神様の食べ物」・「滋養強壮剤」だったチョコレート
マヤ文明の時代のカカオは「神様の食べ物」とされ、貨幣としてや、儀式で使用されるほど大変貴重なものでした。
14世紀のアステカ帝国時代でもカカオの扱いは変わりません。
薬や年貢として用いられ、手にすることが出来たのは王族・貴族・上流階級などに限られていました。
この頃のチョコレートは液体で、しかも苦いものとして口にされていました。
今では考えられませんね。
16世紀になるとアステカ帝国のモクテソマ2世は、カカオ豆を焙煎してすり潰したものを、とうもろこしの粉・トウガラシ・バニラなどの香辛料で風味付けした「ショコラトル」を、兵士の滋養強壮剤として与えていました。
またモクテソマ2世自身も「ショコラトル」を1日50杯も愛飲していたと言われています。
(1日50杯も飲むとおなかを壊してしまいそうな気がしますね)
それほどまでにチョコレートを愛していたことから「チョコレート王」の異名が付いたほどでした。
古代のチョコレートは、甘くはないスパイシーな飲み物で薬や滋養強壮剤だったのですね。
では、砂糖を使用した甘いチョコレートになるまでには、どのような歴史をたどってきたのかをお伝えします。
スペインへ渡ったチョコレートは甘い飲み物に
16世紀にアステカ帝国を征服したスペインのエルナン・コルテス将軍がカカオの薬・滋養強壮剤としての効用や金銭的価値に気づき、スペイン宮廷のカルロス1世に献上しました。
スペインに渡ってからもカカオは、とても高価なものだったので、愛飲していたのは王族・貴族でした。
しかしながら苦い飲み物だった「ショコラトル」は、スペイン人の口には合わず、ようやく苦みを打ち消すために砂糖やバニラなどを加え、甘い飲むチョコレートになったのです。
その後、メキシコからスペインへの輸出が始まったことでカカオの価値も低下しました。
だんだんと甘いチョコレートが庶民の手に届くものへと変わり、ヨーロッパ全土へと広まっていきました。
ようやく甘い飲み物として、また特権階級のみならず、たくさんの人たちがチョコレートを手に入れることが出来るようになりました。
しかしながら今のチョコレートとはまだかけ離れていますね。
では最後に飲むチョコレートから食べるチョコレートに進化した軌跡を追っていきましょう。
4人の偉業、食べるチョコレートの誕生!
バンホーテン;ココアとココアバターの分離
19世紀前半、オランダのクンラート・バンホーテンが、カカオ液(カカオマス)からココアバターを抽出する油圧式圧縮機を開発しました。
これによりカカオ豆に含まれた多くのカカオバターを減らすことが出来るようになりました。
また、カカオバターが抽出されたカカオマスを、砕いて粉末状にし、お湯に溶けやすくなったココアパウダーが誕生しました。
ジョセス・フライ;食べるチョコレートの誕生
19世紀半ばに、イギリス人のジョセフ・フライが、ココアバターがある一定温度で溶ける・凝固する性質を生かし、カカオ豆、砂糖、ココアバターを配合した「食べるチョコレート」を生み出しました。
ここで生み出されたチョコレートはいろいろな形で発展していきましたが、苦みが強いものでした。
ダニエルピーター;ミルクチョコレートの発明
19世紀後半にスイスのろうそく職人ダニエル・ピーターが、溶かしたチョコレートと、良質なコンデンスミルクを長時間混ぜ合わせた「ミルクチョコレート」を作り出すことに成功しました。
こうして甘くまろやかな「食べるチョコレート」がついに誕生したのでした。
味が劇的に良くなったチョコレートでしたが、一つ欠点がありました。
この時のチョコレートはざらっとした舌触りが残り、飲むココアのほうが人気だったのです。
この問題を解決したのがスイスのルドルフ・リンツでした。
ルドルフ・リンツ;なめらかなチョコレートの感性
彼は、粉末状のチョコレートをコンチングする際、時間をかけて練り上げることにより、舌触りが滑らかに仕上がるプロセスに気づきます。
そしてチョコレートを撹拌し、長時間練り合わせることの出来る機械、「コンチェ」を開発しました。
コンチェを使ってチョコレートを72時間練り合わせることで、非常に香り高く滑らかな「美味しいチョコレート」が完成したのでした。
チョコレートの歴史を振り返ると、今のように甘く、多くの人々の間で楽しめるようになるまでには、かなりの時間がかかっていたのです。
こんなに美味しいチョコレートを食べられる現代に生きられて幸せですね。
まとめ
チョコレートの歴史を4000年前から19世紀まで一気にお伝えしました。
古代メキシコ文明から発見。
儀式や貨幣や供物として扱われてきたカカオ。
ヨーロッパに渡り上流階級にしか口にすることが出来なかったショコラトル。
甘い味へと変わった飲むチョコレート。
やがて4人の偉人が作り出した食べるチョコレート。
私たちの元へやってくるまでに、たくさんの人たちがチョコレートに関わっている…。
チョコレート1枚・1粒に歴史が詰まっていると思うと、より美味しく頂けるのではないでしょうか。
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