一粒口に含んだだけで、幸せな気分になれるチョコレート。
カカオからチョコレートができるまでには、たくさんの作業と工程があるんです。
チョコレートも「発酵」して作られているって知っていましたか?
そんな疑問にお答えしながら、美味しいチョコレートはどうやって作られているのかをお伝えしていきますね。
きっとチョコレートの新たな発見がありますよ!
カカオ豆からカカオマスを作り出す工程の事を指す「カカオ豆の一次加工」です。
カカオ豆の一次加工は「カカオ豆の生産地で行われる加工」と「カカオ豆を輸入した国で行われる加工」に分けてお伝えします。
目次/contents
カカオ豆の生産国での加工 カカオ豆の収穫から輸出
まず「カカオ豆の生産地で行われる加工」は、①採果、②発酵、③乾燥、④袋詰めの4つ。
それぞれの加工工程を簡単に見ていきましょう。
採果
カカオの樹からカカオの実(カカオポッド)を採る工程。
1個のカカオポッドの中には30~40粒のカカオ豆が入っており、この時点でカカオ豆はパルプと呼ばれる白いもやもやしたものに包まれている状態です。
発酵
収穫したカカオ豆は、パルプとともに発酵によって化学的変化を起こします。
発酵の方法はさまざまですが、バナナの葉で覆ったりする方法や木箱にいれて発酵を促す方法がメジャーどころ。
また、発酵によってカカオ豆はチョコレート色に変化し、香りが変化します。
後の焙炒工程でチョコレートの風味になるための前駆体が作られるのが、この
発酵工程なのです。
カカオ豆にとって、とっても大切な工程と言えるでしょう。
乾燥
発酵後のカカオ豆の水分を飛ばし、カビが発生しない水分域(7~8%)にする工程。
天日乾燥や機械を用いて乾燥を行います。
袋詰め
乾燥を終えたカカオ豆は、麻袋に入れられて船舶で輸出されます。
カカオ生産地での作業はここまでです。
カカオ豆を輸入した国で行われる加工
続いて「カカオ豆を輸入した国で行われる加工」には、⑤選別、⑥焙炒、⑦粉砕・分離、⑧磨砕の4つの加工工程があります。
それぞれを簡単に見ていきましょう。
選別
品質の良くないカカオ豆や医師、砂、ゴミなどの異物を取り除く工程。
風や比重を利用した選別法やマグネットによる金属除去など方法はさまざまです。
焙炒
焙炒はローストとも呼ばれ、熱を加えてカカオ豆特有の風味を引き出す工程のことです。
このローストによって生じる香気成分は1000種類以上とも言われ、フルーツ様の香りや甘い香りなど実に様々です。
また、ローストの方法には「豆ロースト」と「ニブロースト」の2種類があります。どちらの方法でローストするかによっても、最終的なカカオの風味が異なるので、カカオにとってとても大切な工程と言えるでしょう。
粉砕・分離
カカオ豆を荒く砕いて、カカオニブを取り出す工程。
磨砕
カカオニブをすりつぶしてペースト状のカカオマスを作り出す工程。
カカオニブの時点では固形ですが、カカオニブを強い力ですりつぶすことでカカオニブ中のココアバター(油脂分)が出てくるため、出来上がりの状態はペースト状になるんです。
これで、カカオマスの出来上がり!
チョコレートになるまでの製造方法はこちら
チョコレートの製造方法!どうやってチョコができるの?
カカオ豆からカカオマスになるまで、こんなにたくさんの工程があるんですね。
カカオ豆から直接チョコレートになるわけではなくて、加工しやすいようにカカオマスに姿を変えるとは!
奥深きカカオ豆の世界・・。
さて、カカオ豆について学んだところで、続いてはそんなカカオ豆の産地に注目していきましょう。
カカオ豆の産地・カカオベルトとは
カカオ豆の栽培はどの地域でもできるというわけではなく、細かい生育条件があることが分かっています。
そのポイントを以下に示しますね。
- 年間の気温差が少なく、平均気温が27℃
- 平均的に降雨量があること(年間降水量2000mm以上)
- 標高300m以下
- 南北緯20°以内
上記の条件を満たすような地域でのみ、カカオの栽培が可能です。
ちなみに、4番目の「南北緯20°以内」という条件を満たす地域のことを「カカオベルト」と呼びます。
カカオ豆の産地として有名な西アフリカ地域のコートジボワールやガーナ、中南米のエクアドル、そして東南アジアのインドネシアはこのカカオベルトに該当する地域に当てはまっていますね。
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かなり厳しい生育条件を持つカカオ豆、日本での栽培は難しそうですね・・・残念。
でも、沖縄や小笠原諸島では、国産カカオを育てるプロジェクトが進行しています。
純国産チョコレートを食べられる日も夢ではありません!
そんな奇跡の植物・カカオですが、なんとカカオ豆にはいくつかの種類があることが判明!
私自身、「カカオ豆は1種類しかない」と思っていたので、この新たな事実には驚きです。
そこで続いては、カカオ豆の種類を詳しく見ていきましょう。
カカオ豆には種類がある!
カカオ豆には、3種類の品種が存在しています。
カカオの栽培地域や豆の形状、風味によって「クリオロ種」「フォラステロ種」「トリニタリオ種」に分けることができます。
それぞれの特徴を簡単に見ていきましょう。
【クリオロ種】
栽培地域:ベネズエラやメキシコといった限られた地域
豆の形状:細長く、生豆は白~黄色
風味:苦みが少なくマイルド
クリオロ種は最も歴史のある品種で、メソアメリカの地域(今のメキシコやグアマテラ)での栽培記録があるほど。
そんな歴史のあるクリオロ種ですが、病気に対する抵抗性が弱く、現在は絶滅の危機に瀕している品種とも言われています。
さらにクリオロ種のカカオ栽培量は、カカオ豆全体の0.5%程度であり今では「幻のカカオ」と呼ばれることも。
また、クリオロ種のカカオ豆はその香りが特徴的なことからフレーバービーンズ(※1)として使用されています。
(※1)フレーバービーンズ:ベースとなる配合に少量加えることで、風味や香りをプラスする効果のあるカカオ豆のこと。
【フォラステロ種】
栽培地域:ブラジル、西アフリカなどで広く栽培
豆の形状:丸くて小粒、生豆は紫色
風味:渋味と苦味が特徴
フォラステロ種は、現在のカカオ生産量の80~90%を占めているカカオです。
生長が非常に早く、病気への抵抗性が高いため、比較的栽培しやすい品種と言えるでしょう。
チョコレート産業を支えている品種とも言えそうですね。
フォラステロ種のカカオは主にベースビーンズ(※2)として使用されています。
(※2)ベースビーンズ:チョコレート配合のベースとなるカカオ豆のこと。
【トリニタリオ種】
栽培地域:中米、スリランカなど
豆の形状:クリオロ種とフォラステロ種の中間的な形、色
風味:さまざま
トリニタリオ種は、前述のクリオロ種とフォラステロ種を自然交配することでできた品種です。
両者の中間的な性質を持っており、栽培しやすく良質なのが特徴と言えるでしょう。
トリニタリオ種のカカオは、世界のカカオ生産量の10~15%を占めています。
カカオには3種類も品種があるとは驚きでしたね!
これらのカカオの中から、どの品種をどの程度配合するのか・・・この辺りはショコラティエの腕の見せ所という感じなのかな?と思いました。
それでは最後に、今回カカオ豆についてまとめてきたことをおさらいしておきましょう。
まとめ
今回は、カカオ豆・美味しいチョコレートになるまでの秘密をお伝えしました。
カカオ豆の生産国では特に「発酵」を始めとした4つの加工工程があり、カカオ豆の輸入国でも「焙炒」を含めた4つの工程があることが分かりましたね。
カカオを発酵させて、チョコレートの美味しい香りを作り出している。
ということは、広い意味でチョコレートも発酵食品といえそうですね。
そしてカカオには3つの品種が存在し、現在のチョコレート産業を支えていることも新たな発見でした。
カカオ豆について詳しくなったところで、改めてチョコレートを食べると新たな発見がありそうですね!
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