チョコレートを製造するにあたり、「コンチング」という工程があることをご存知でしょうか?
チョコレートのなめらかさやおいしさを作る上で欠かせない工程です。
ビーントゥバーのお店にいくと小型のコンチングマシーンを見かけたりしますよね。
それが気になる方のために、コンチングの役割や実際の方法をお伝えします。
さらに、コンチングが発明された歴史も紐解いていきましょう!
目次/contents
コンチングって何?何のためにやるの?
コンチングとは、チョコレート製造の二次加工(カカオマス等の原料からチョコレートペーストを作り出す加工のこと)の中の1つの工程です。
このコンチングを行う機械のことを「コンチェ」と呼んでいます。
それでは、コンチングの目的を以下に示しますね。
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水分の蒸発
コンチングにより発生する熱によって、チョコレート原料由来の水分を蒸発させます。
チョコレートには基本的に水分は入っていないので、原料由来の水分がなくなることでチョコレートペーストの滑らかさにつながるのです。
不快成分の除去
この段階のチョコレートには、苦味やえぐみといった不快成分が存在しています。
例えば、カカオ豆を発酵させた時に生じる「酢酸(さくさん)」(すっぱくて嫌な臭い)があります。
これらの不快成分を、コンチェで加熱攪拌することで蒸散させることができるのです。
生地の均一化
コンチングでは、リファイナーによってフレーク状になったチョコレート生地を練り上げて、チョコレートペーストを作り出します。
「え?フレーク状だったのに、コンチングすることでペースト状になるの?」と思いますよね。
実は、フレーク状のチョコレート生地はコンチングをする機械であるコンチェによって非常に強力な力で攪拌されます。
そうすることで、フレーク中の油脂(ココアバター等)が出てくることでどんどん生地が柔らかくなっていくのです。
風味の生成
コンチングによって、チョコレートにはpHの変化(酸味が和らぎ、まろやかになる)や渋味が少なるなるといった化学的変化も起こります。
コンチェで長時間練られることによって、チョコレートらしいまろやかな風味が生成されます。
コンチングにはさまざまな目的があることが分かりました。
う~ん、チョコレートって科学なんですね。
続いて、実際にコンチングを行う場合の方法について見ていきましょう。
コンチングの方法は2種類!
コンチングには、①ドライコンチングと②リキッドコンチングという2種類の工程が存在します。
それぞれについて見ていきましょう。
ドライコンチング法
リファイナーによってフレーク状になったチョコレート生地は、まずドライコンチングという方法で練られます。
この方法最大の特徴は「チョコレートのフレークのみで加熱攪拌する」ということ。
フレークのみで攪拌することで発生する摩擦熱で、チョコレートのフレーク中の油脂分が滲みだし、液化してきます。
さらに、チョコレート中の不快成分や揮発成分を効率良く飛ばしてくれるのです。
しかし、その代わり機械に与える負荷も大きいという点も忘れてはいけません。
また、ドライコンチングをやりすぎてしまうと、チョコレート中の不快成分だけではなく必要な風味まで飛んでしまうことがあるので、注意が必要。
ちなみに、ドライコンチングが終了した時点でのチョコレートは、加熱攪拌によってフレーク中から出てきた油脂(ココアバター等)によってまとまり、固い粘土状になっています。
私達が良く知っているチョコレートのペースト状態とはまだまだかけ離れていますね。
リキッドコンチング法
ドライコンチングが終了したチョコレートは、その後リキッドコンチング法で全体を均質化していきます。
ここでは、硬い粘土状のチョコレートに油を加えて加熱攪拌を行います。
そうすることでコンチングによって発生する摩擦熱を抑えることができるので、じっくり練ることができるのです。
目的の風味になったチョコレートペーストは、配合されている残りの原料(香料や乳化剤等)を加えて、完成となります。
チョコレートには、2種類のコンチング方法があることが分かりました。
コンチング・・・とっても奥が深いものなのですね!
続いては、このコンチングという技術が確立された歴史に関して見ていきましょう。
コンチングの歴史
チョコレートの歴史を見てみると、現在のような形になるまでに4つの大きな発明があったと言われています。
ココアの発明、イーティングチョコレートの確立、ミルクチョコレートの発明、そして4つ目として知られているのが「コンチェの発明」。
コンチェは、1879年にスイス人のロドルフ・リンツが発明しました。
リンツは、底の浅い容器(コンチェ)にチョコレートを入れ、容器内で石を転がしてチョコレートを練りました。
石を転がすことで、チョコレート中の砂糖(この時点でまだざらざらしている)の粒子を細かくする狙いがあったのです。
この処理を行うことで、舌触りの滑らかなチョコレートを作り出すことに成功!
さらにこの容器内でチョコレートを長時間攪拌することで、チョコレート中の水分が蒸発し流動性も改善されたんです。
流動性が良くなったチョコレートは作業が各段にしやすくなりますので、その後に型に流し込んだりする作業の効率UPに大きく貢献したといえるでしょう。
コンチングは100年以上まえに発明されていたとは、歴史がありますね。
チョコレートの4大発明・・・この発明のおかげで、今の美味しいチョコレートがあるとは、先人の知恵に感謝です!
歴史についてはこちら
チョコレートの起源!知られざるチョコレートの誕生秘話
まとめ
チョコレート製造における「コンチング」とは、チョコレートの風味や状態を決定付けるとても大切な工程なんですね。
コンチングの目的は2つ。
①チョコレートをペースト化するという物理的変化⇒くちどけ良く、なめらかにする
②風味の変化という化学的変化⇒風味豊かに美味しくする
また、コンチングにはドライコンチングとリキッドコンチングが存在することも判明。
コンチング技術の原点とも言えるリンツによる「コンチェの発明」から100年以上。
コンチングは、チョコレートメーカーや、ビーントゥバーの作り手によって今も研究され続けています。
改めて、チョコレートの奥深さを感じますね。
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